MASANOBU SATO
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佐藤 匡将(さとう まさのぶ) 1987/08/17 Type O
参加型フリーマガジン[OoooO] 編集・発行人。

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TITLE  映画『書を捨てよ、町へ出よう』(名古屋シネマテーク)/ スクリーンの向こうで何かが起きることを待っていたことに気づかされた!!

ぽつーんと黒い映像が映し出された画面を眺めている。
もう映画は始まってるのか?
暗闇からは確かに物音が聞こえる。

まだ黒い画面だぞ?と不安に思う頃、
映写機から漏れるカタカタカタ
という音がだんだんと大きくなって聞こえてくる。
すると1人の青年がパッと現れ
画面の外にいるわたし(たち)に向かって話しかける。


「なにしてんだよ。
映画館の暗闇のなかでそうやって腰掛けてたって何も始まんないよ。」


あれ?それってまさに、いまのわたし。
現行犯逮捕。
言い逃れはできない。

この映画のタイトルは『書を捨てよ、町に出よう』
寺山修司が1971年に製作した代表作だ。

家で DVDを借りて観ていても
なんとも思わないシーンに違いない。
テレビの前では他のことをやってしまうだろうし
ぽけーっと早送りをしてしまうかもしれない。
一方、館内では映画の冒頭に集中しているだろうし
黒い画面をずーっと観る他にやることはない。

いつだってわたしは待っていた。
この映画に限らず映画館のスクリーンの前で。
何かが始まるのを。

42年前のこの映画を
映画館で観ることなんて無理だと諦めていたが
来月、その夢が叶う。

6月1日〜7日の間、
名古屋シネマテークにて『寺山修司◎映像詩展』が行なわれる。
没後30年記念。
これを逃せばまた10年後。


 ◎映画『書を捨てよ、町へ出よう』冒頭


青年が立ち上がりゆらり画面に近づきながら
画面の外にいる私たちにたばこを突きつけながらいきりたつ。
冒頭で一番好きなシーンだ。


「まるで自分が2、3人切ったような顔をして
肩をいからせて映画館を出て行ったお前!
そうお前よ!
あんときお前に何が起こったんだ。
え"ぇ!なにが!!」


寺山修司は肩をいからせて映画館を出て行く理由をこう話す。

「俳優というのは代わりの人間としている。日常のイライラを自分の代わりに晴らしてくれる人間がいることによって、日常のイライラを爆発させるエネルギーを失ってしまう。日常の暴力をある意味で制御する装置として、社会から認可を得て成り立ってる。代わりの人間のドラマを見て楽しんでいるが、実際には自分のドラマを要求している。自分の人生のなかにもドラマチックな出来事、過激な出来事を期待しているけれど、実際の生活のなかでは何も起こらない。だから劇場に行って身代わりのドラマを求める。俳優がいる間は、自分自身のドラマを持たなくてもいい。俳優としてではなく、隣人として劇的シチュエーションをつくるのが大事だと思っている」

青年は4分間カットなしの長回しで話し続ける。
途中でかんでもおかまいなし。
その場で本当に人がしゃっべてるみたい。
映画の途中で映写室に向かって登場人物が「客電つけてください!」
というシーンがあって寺山修司の意図を理解している映画館では
本当に客電が点いたらしい。

映画のなかの出来事が現実と繋がっているように感じられる。
いくらDVDで観ても伝わらない。
体験したことのない映画体験が待っているはずだと
いまからワクワクしている。
ちょー楽しみ。


◎寺山修司:演劇&映画装置について


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