YU KAWAI
作灯
河合 悠(かわい ゆう)
蝋燭を作っています。

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2016年、12月20日の代官山、「晴れたら空に豆まいて」の森ゆにさんと、波多野裕文さんの演奏会での演出では無数の落葉を使った。
秋の旅のあいだ、雑木林を見つけては分け入って、一枚一枚葉っぱを選んだ。始めは無造作に袋に詰めていたのだけど、その中には虫食いでぼろぼろの葉っぱや、枝だったり、形がよれよれの葉っぱだったり、とても無秩序で、袋の上から見てもそれが敷き詰められたときのステージを想像したら美しい物になるとは思えなかった。
そのとき一緒に落葉拾いをしてくれていた人は、一枚一枚丁寧に選んで集めてくれていた。彼女が集めた葉っぱのかたまりはとてもふっくらしていて、葉っぱが積もっていく時間をしっかりと受け止めているようだった。落葉を拾っている時間は忙しさを忘れ、とっても静かな時間を過ごせたと言ってくれた。仮に電気の灯りがsnsで不特定多数に拡散するものだとしたら、僕の扱っているロウソクの火というものは何だろう。ひとりひとりに手渡しで繋いでいくささやかな灯りは、一度にたくさんの人には届かないけれど、確実に一人の人の心を灯す事は出来るかもしれない。この日の落葉拾いはきっと大切なメッセージになるだろうと思う。そしてそのメッセージは火を灯す行為の中にだけあるものではなく、日常の何気ない出来事のなかに、ひっそりと潜んでいる。
火を通じて、日常に潜んでいるメッセージを灯す事ができたら、僕はそんな仕事をしていきたいと思っている。
その日は小学3年生くらいの男の子が一人で遊んでいて、落葉拾いをいっしょにしてくれた。男の子は、「明日も来てね」といって帰っていった。ぼくは来年も来るよと言って別れた。その後その落ち葉はとある華道家の方がすべて引き取ってくれた。何らかの循環のかたち。


photo / TKC




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